赤星たみこのゆっくり生活
第20回 ゆっくり時間
年を重ねるごとに、一年の長さ、一日の長さを短く感じるようになりました。なぜかな、と考えてみて、ふと思い当たりました。十歳の子どもにとって、一年は人生の10分の1です。40歳の人にとっては1年は人生の40分の1。
一年がその人の生きてきた長さ(人生)の中で、年々、割合が小さくなるのは当たり前のことですね。
一年が短く感じられると、実はとてもいいことがあります。若いころ、あんなに流行に踊らされていた私が、一つの服をじっくり着るようになったのです。
流行に鈍感になった、というわけではなく、1年前の流行も、2年前の流行も、うまく取り入れつつ、お化粧やアクセサリーなどで変化をつける技が身についてきたのだと思います。
若いころは小さな差が気になって、ちょっとした形や色の違いだけで「古臭い」と思い込んでいましたが、年齢を重ねると、そういうところではなく、自分に似合うかどうかをまず見るようになります。
それはゆっくりですが、自分というものがわかってきた証拠でもあると思います。
ゆっくり時間をかけて自分を理解する旅を続けていきたいな、なんて、ちょっとかっこつけすぎだったかしら?
※この記事は、フリーペーパー『まいぷれ』に掲載されたものです。
赤星たみこ(漫画家・エッセイスト)
漫画家の多忙な生活から、家事の手間を省く方法を考案し発表している。新刊『赤星生活』(講談社)では、今まで実践してきた生活のコツを伝授。ダイエット、掃除、料理… 自分をダメダメだと思っている人に勇気を与えるビタミン剤的1冊となっている。
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